楽しめ!ホタル図書館dd(゜∀゜)bb

★本当の自分


空色になんなくったって、
虹色になんなくったって、
何色になんなくったって。
自分色に染まればそれでいい。

自分色に染めさせて、大きくつながりのある、深くつながりのある、いつも一緒。
そんな存在を見つけて。


エルメスとぼくは、旅をしている。
いろんな国に回って、3日間滞在。
そして国を出る。
自分の命を狙うヤツらは容赦なく殺してきた。
自分の命だけ大切にする。
いままでぼくはそうしてきた。
勿論これからも、そうするつもりだ。

ある森の中で。
「キノがずっと旅を続けるには何か理由があるのかい?」
「うーん・・・そうだね・・・」
燃える炎を瞳に映しながら、キノは考え込んだ。
そして言った。
「一つは、ある旅人に会ったからさ。」
「ふぅん。ある旅人って、前も話してくれた旅人かい?」
「うん。」

燃え盛る炎が風に揺れた。

「・・・もう一つは・・・・・・。何さ?」
エルメスが聞く。
キノは口を開いて何か言おうとした。けれどまた口を閉じ、また開く。
「忘れた。」
その一言だけ言った。
「何だよそれぇ。もうキノぉー。」
「今日は乗りっぱで疲れた。ぼくは寝るよ、エルメス。」
「ぶぅー。」
「おやすみ。」
キノの言う口調が少し強くなった。
「おやすみキノ。」
─火が消える。
一人と一台は、眠りについた。
寝返りしてつぶやく旅人の声が聞こえた。

「上手く言えるかな、エルメスと気長に旅していきたいって・・・。」
すでに眠りについた一台のモトラドには聞こえないことだった。
それでも旅人は、また寝返りをし、今度は深く息を吸って、目を閉じたのであった。


梟(ふくろう)の鳴き声が、森に響いていった。


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