空色になんなくったって、 虹色になんなくったって、 何色になんなくったって。 自分色に染まればそれでいい。 自分色に染めさせて、大きくつながりのある、深くつながりのある、いつも一緒。 そんな存在を見つけて。 エルメスとぼくは、旅をしている。 いろんな国に回って、3日間滞在。 そして国を出る。 自分の命を狙うヤツらは容赦なく殺してきた。 自分の命だけ大切にする。 いままでぼくはそうしてきた。 勿論これからも、そうするつもりだ。 ある森の中で。 「キノがずっと旅を続けるには何か理由があるのかい?」 「うーん・・・そうだね・・・」 燃える炎を瞳に映しながら、キノは考え込んだ。 そして言った。 「一つは、ある旅人に会ったからさ。」 「ふぅん。ある旅人って、前も話してくれた旅人かい?」 「うん。」 燃え盛る炎が風に揺れた。 「・・・もう一つは・・・・・・。何さ?」 エルメスが聞く。 キノは口を開いて何か言おうとした。けれどまた口を閉じ、また開く。 「忘れた。」 その一言だけ言った。 「何だよそれぇ。もうキノぉー。」 「今日は乗りっぱで疲れた。ぼくは寝るよ、エルメス。」 「ぶぅー。」 「おやすみ。」 キノの言う口調が少し強くなった。 「おやすみキノ。」 ─火が消える。 一人と一台は、眠りについた。 寝返りしてつぶやく旅人の声が聞こえた。 「上手く言えるかな、エルメスと気長に旅していきたいって・・・。」 すでに眠りについた一台のモトラドには聞こえないことだった。 それでも旅人は、また寝返りをし、今度は深く息を吸って、目を閉じたのであった。 梟(ふくろう)の鳴き声が、森に響いていった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |