2/7ページ目 「(・・・まさか。そんな事、あるわけないじゃないか・・・。百歩譲った所で、私がハヤ太君になんてあるはずがない)」 「・・・沙、理沙?」 「朝風さん?」 ふいに、ヒナギクとハヤテが自分を呼ぶ声が聞こえた。 どうやら先ほどから呼び続けていたらしい。全く気がつかなかった。 「・・・あ」 「どうしたの?さっきからずっと呼んでたのに、全く反応がないし」 「いや、ちょっと考え事をな」 「そう。何か悩みでもあるなら聞くけど?」 「大丈夫だ。心配するな」 「理沙がそう言うならいいけど・・・」 結構長い間考えていたようで、理沙に言われてもまだ心配している様子が抜けていないヒナギク。 そんなヒナギクを見ながら、理沙はヒナギクの入れた紅茶を飲む。 紅茶はすっかり冷め切っていた。 「・・・さすがヒナ。プロ級だな」 「もう冷めてるんじゃない?入れ直そうか?」 「ん。いい。これはこれでおいしい」 紅茶を飲み終えたあと、三人は生徒会の仕事に取り掛かる。 いつもならサボる理沙が仕事をしていたのは、ハヤテがいたからかもしれない。 無意識のうちに、理沙はハヤテと一緒にいたかったのかもしれない。 それから数週間、理沙はずっと悶々とし続けていた。 考えれば考えるほど、自分がハヤテを好きだという気持ちに気づいていった。 そして、自分の気持ちに気づいたからこそ、理沙は悩み続けていた。 ハヤテへの気持ちを捨てることは出来ない。だが、ヒナが悲しむ所も見たくない。 そんな恋と友情とに板ばさみにされ、理沙はこれ以上無いほどに苦しかった。 「どうしたの、理沙ちん。最近なんだかおかしいよ?」 「ほんと、いつもの理沙らしくないな」 数週間悶々としていたからか、最初からなのか理沙の様子がおかしい事に、泉と美希は気づいていた。 そのため、心底心配していた。 「いや、なんでもない。気のせいだ」 「でも・・・」 「やっぱり何かおかしい。何か隠してない?」 「・・・そ、そんな事ないさ」 美希の言葉に動揺する理沙。 挙動不審なこの様子では、うろたえているのがバレバレである。 それでも理沙は、必死に隠し続けようとした。 「その様子、絶対何か隠してるわね。バレバレよ。・・・何があった?」 「何か悩んでるんだったら、話だけでも聞くよ?」 だが、これ以上はもう隠しきれるわけがなかった。 このまま隠し続ける事を許されなかった。 言ってしまえば、何かが変わるかもしれない。それが怖くて、理沙は打ち明ける事をたじろいだ。 しかし、そんな理沙に泉と美希の視線が突き刺さる。 もう、黙っている事は不可能だった。 「ヒナには言うなよ。・・・私は、ハヤ太君が好きかもしれない」 「え・・・?理沙ちんがハヤ太君を?」 「ああ。最近、ヒナとハヤ太君を見てると、何だか怒りがこみ上げてくるんだ」 「それ、嫉妬じゃない?」 「という事は、理沙は本当にハヤ太君の事が好きなのか」 「そうみたいだ。だが、ヒナもハヤ太君が好きだろう?それなのに、私がハヤ太君を好きになったら、今の関係が壊れてしまいそうで怖いんだ。かと言って、この気持ちは変わらないし。どうすればいいのか、もう分からないんだ」 理沙は本当に辛そうな表情を見せる。 それほど理沙は辛く、苦しかった。どうする事も出来ず、悩んでいた。 そんな理沙を見て、美希と泉はどうしたものかと考え始めた。 だが、どう考えても解決策は思い浮かばない。 結果的に思いついたのは。 「ねぇ、ヒナちゃんに言ったら?今の関係は壊れちゃうかもしれないけど・・・お互い知ってた方がいいんじゃない?」 「それが出来れば問題ないんだ。けど、私はそれが出来ないから・・・」 その瞬間、教室の扉が開いた。 そして、入ってきたのは。 「・・・ヒナちゃん・・・」 理沙が今、最も会いたくない人物である、ヒナギクだった・・・。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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